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卑弥呼の時代にカエルお供え? 奈良・纒向遺跡出土の骨分析 【大阪】

 女王卑弥呼(ひみこ)がおさめた邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡(国史跡、3世紀初め~4世紀初め)で出土したカエルの骨を分析したところ、カエルが何らかの祭祀(さいし)に利用された可能性のあることが分かった。25日に公表された市纒向学研究センターの最新の研究紀要で報告された。カエルは古代日本列島や中国王朝で神事や食用に使われるケースがあったとみられ、専門家は纒向遺跡でもカエルが神に供えられた可能性を指摘する。
 センターによれば、骨は2010年に出土した遺跡の中枢部とみられる大型建物跡(3世紀前半)の南約5メートルにある穴(3世紀中ごろ)から魚や動物の骨、植物の種などと一緒にみつかった。祭祀で使われた後に捨てられた可能性などが指摘されている。
 宮路淳子・奈良女子大学教授(環境考古学)と、琉球大学博物館の中村泰之協力研究員がカエルの骨117個を調査。報告によれば、体長は4~7センチとみられ、ツチガエル6匹、ニホンアカガエル4匹、ナゴヤダルマガエル2匹の計12匹。約3割の骨に長さ1ミリ以下の傷がみつかり、人為的につけられた可能性もある。カエルの骨の約8割が魚や動物の骨がみつかったのと同じ地層から出土し、骨の部位が腕や脚などに偏っているため、センターは人為的に埋められた可能性があるとみる。
 辰巳和弘・元同志社大教授(古代学)は「カエルは縄文時代の土器や弥生時代の銅鐸(どうたく)にも表現され、大地の象徴として神聖視されていた。纒向遺跡でもカエルが神への供え物である神饌(しんせん)の一つだったと考えても不思議ではない」と話す。
 紀要は25日から、桜井市立埋蔵文化財センターで販売される。1冊千円。問い合わせは桜井市文化財協会(0744・42・6005)へ。
 

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