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キクラゲ増産「まきボイラー」で 名張のNPO、間伐材燃料に /三重県

 名張市で里山保全やキノコ生産などに取り組むNPO法人「赤目の里山を育てる会」(同市上三谷)が、「まきボイラー」を導入してキクラゲの通年生産を始めた。間伐材のまきを燃料として効率的に利用でき、最近人気が高まっているキクラゲの増産にもつながるという。

 育てる会は、大規模開発からの里山保全を目的に1996年に設立。間伐や雑木伐採などの里山整備のほかに、障害のある人らが働く「赤目の森作業所」や環境保全型宿泊施設なども運営する。6、7年前からはキクラゲやシイタケなどの生産販売も始めた。
 主力のキクラゲは通常、気温の低い冬は栽培できない。育てる会の福祉施設で使っていた木質ペレットを燃料とするボイラーが壊れ、昨年夏に新たにまきボイラーを設置したのを機に、熱源をキクラゲ生産にも利用することにした。
 今年1月に宿泊施設の1室を「キクラゲ発生室」に改造。ボイラーから熱水パイプを発生室内に設けた水槽まで引いて水蒸気を発生させ、室温20~30度、湿度100%に維持し、約500個のキクラゲの菌床を設置できる。2月から栽培を始め、3月下旬から収穫できるようになった。
 同会理事長の伊井野雄二さん(64)は、ボイラーの燃料は里山保全のため伐採したコナラやクヌギなどの材で、以前のような木質ペレットに加工する手間やエネルギーが省け、効率的に森の資源を活用できると強調する。国内で流通するキクラゲは、安い中国産が圧倒的に多いが、育てる会では生や乾燥したキクラゲを市内の大手スーパーやホテルなどに出荷。味の良さや安全性への信頼から、徐々に需要が増えているという。
 伊井野さんは「昨年は5~6トン出荷したが、通年生産が軌道に乗れば10トンほどに増やせるかもしれない。環境保全にも協力できる取り組みです」と話す。
 

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