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アンモニア吸着、既存材の5~100倍 新素材、産総研など開発 /茨城県

 産業技術総合研究所(つくば市)と関東化学(東京都中央区)の研究グループはこのほど、高効率のアンモニア吸着材を開発した。活性炭などの既存材の5~100倍の吸着性能があるといい、豚舎の臭いの解消から、半導体製造のためのクリーンルームなどへの普及を目指すという。

 産総研の高橋顕主任研究員らによると、新吸着材は青色顔料の「プルシアンブルー」に含まれる鉄イオンの半分を、銅イオンに置き換えた「銅プルシアンブルー」という物質。1グラム当たりのアンモニア吸着量を測ったところ、既存の活性炭の100倍、イオン交換樹脂の5倍もの量を吸着したという。
 粒状にした「銅プルシアンブルー」を高さ60センチ、幅50センチ、厚さ5センチの板状ケースに入れた吸着装置を、40頭の豚がいる密閉した豚舎で作動させたところ、設置しなかった豚舎と比べて臭いが激減したという。フィルターは酸性溶液で洗えば、繰り返し使えるという。
 格子状の構造をしているプルシアンブルーは、格子の隙間に様々な分子やイオンを吸着する。同研究グループはこの性質を利用して当初、東日本大震災で津波被害にあった東京電力福島第一原子力発電所から漏れた放射性セシウムの吸着剤を開発した。その後、鉄イオンを様々な金属イオンに置き換えて性能を調べる中で、アンモニア吸着剤として使えることが分かったという。
 課題はコストで、高橋主任研究員は「今は1キロ当たり10万円前後するが、量産することで数千円に下げたい」と話している。

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