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温暖化進んだら、大型海藻「カジメ類」瀬戸内海から消えるかも 水産研機構 【大阪】

 このまま温暖化が進むと、瀬戸内海から将来、大型海藻の「カジメ類」が姿を消す可能性が高い――。水産研究・教育機構や愛媛大沿岸環境科学研究センターなどのチームが、そんな予測研究をまとめた。同機構瀬戸内海区水産研究所の島袋寛盛(ひろもり)・主任研究員は「温暖化の進行は、瀬戸内海の海藻の多様性を低下させてしまうだろう」と指摘している。
 カジメ類は、大きなものは高さが1メートルを超す。食用になるほか、アワビやサザエなどのエサとしても重要だ。海中に森林のような群落を作り、魚や甲殻類などのすみかにもなる。
 チームは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した気候変動シナリオに基づいて、瀬戸内海の水温変化をシミュレーションした。その結果、温室効果ガスの排出が高水準で続くシナリオの場合、2090年代には、瀬戸内海からカジメ類が完全に消滅するという結果になった。
 夏の水温が高すぎると、カジメ類はダメージを受ける。さらに、冬の水温上昇によって、アイゴなどの魚によるカジメ類の食害が長期化し、減少に拍車をかけるという。島袋さんは「温室効果ガスの排出を削減する取り組みは、海中の森を守るためにも重要だ」と話す。

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