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絶景守れ、「クズ」撤去 光・虹ケ浜海岸 /山口県

 白砂青松で名高い光市の虹ケ浜海岸の東側で、つる性植物の「クズ」が繁殖し、貴重な海浜植物の生育を脅かしている。美しい景観も損ねるため、自然保護活動に取り組む市民グループ「ひかりエコメイト」が昨年から撤去作業を続けている。
 17日、島田川河口近くでクズの撤去作業があった。集まった市民や学生ら約70人が鎌やスコップを手に汗を流した。
 地をはうように伸びるクズは一帯を覆い尽くし、分け入るのも難しい。引き抜いた茎の中には長さが23メートルを超すものもあり、「予想以上に大変な作業」との声が聞かれた。
 クズはマメ科の多年草で、秋の七草の一つ。国内では古くから、根から製造した粉を熱湯で溶き、くず湯にして飲む習慣もある。
 繁殖力は極めて旺盛だ。ハマゴウやハマナデシコなど、在来の海浜植物の上に覆いかぶさることで日光を遮り、枯らしてしまう。放置すれば「日本の渚(なぎさ)百選」にも選ばれている景観のイメージダウンにもなりかねない。
 グループによると、虹ケ浜で見られるようになったのは20年ほど前から。島田川の上流から種が流れ着き、増殖した可能性が高いという。
 この日は、撤去したクズの長さや太さを競うコンテストや、虹ケ浜の植生を調査している広島工業大学環境学部の学生によるミニ講演会も開催。くず湯で体を温めながら、参加者が除去の必要性を学んだ。
 グループ代表を務める藪博昭さん(79)は「撤去作業は今後も継続し、海浜植物が元気に育つ海岸を守りたい」と話した。

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