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気候変動、適応に拠点 県がセンター設置、全国2例目 /滋賀県

 県は、気候変動リスクの回避や軽減などに向けた対策拠点「県気候変動適応センター」を県庁内に開いた。地球温暖化による自然災害の被害などを減らすための気候変動適応法が昨年12月に施行されたためで、県によると、センターの設置は全国で2例目。
 温暖化対策には、温室効果ガスの排出を抑える「緩和策」に加え、将来予測される気候変動に対処する「適応策」も重要だ。気候変動適応法では自治体への努力義務として、気候変動の影響や適応に関する情報の収集や分析、技術的な助言をするための拠点の確保や適応計画の策定を求めている。
 県内でも気温の上昇は進んでいる。県温暖化対策課によると、彦根市の年平均気温は100年あたり約1・3度上昇しており、今世紀末には20世紀末と比べて約2・9度上昇すると予測されている。
 気温の上昇によって、琵琶湖の生態系への影響も考えられる。湖面近くの酸素を多く含んだ水と底層の水が混ざり合い、生物がすみやすい環境になる「全循環」の現象について、センター長を担う石河康久・琵琶湖環境部次長は「気温が上がると(全循環が)起きにくくなるとも言われている。しっかり見ていかなければならない」という。
 県はこれまで、夏の暑さに強い県産米「みずかがみ」の作付面積を拡大するなど適応策に取り組んできたという。今後は国立環境研究所と連携し、県内の気候変動の情報を収集・分析したり、関連する研究を進めたりして、適応策を検討する。2021年度に適応計画を策定する方針だ。
 石河センター長は「必要な情報を集約し、関係組織と連携して適応策の充実に取り組む」と話した。

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