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再生エネで地域の電力「自給」 大手の送電網から自立 環境省、実証事業へ

 大手電力会社の送電網から自立した送電線「自営線」を引き、再生可能エネルギーで地域の電力をまかなう実証事業を環境省が始める。送電網から自立した地域では再エネを最大限増やすことが可能で、大規模停電(ブラックアウト)も避けられるという。2019年度政府予算案に60億円を盛り込んだ。
 計画では、100~200世帯程度の地域で、太陽光や風力などの再エネ導入を進めて既存の送電網から自営線への切り替えを進めたり、個人所有の電気自動車を地域インフラの蓄電池として活用できるかを探ったりする。こうした地域を増やし、それぞれをつなぐ構想だ。大手電力会社の送電網にも連系線でつなぎ電気が足りない場合は買うが、発電抑制の要請は受けない。5年程度の実証を経て民間ビジネスの参入につなげたい考えだ。
 現在、さまざまな発電所が稼働しているが、ほとんどは大手電力会社の送電網に接続され、全体で電力の「需要」と「供給」のバランスをとっている。バランスが崩れるとブラックアウトが起きかねない。九州電力は昨秋、バランスをとるために太陽光発電の出力抑制に踏み切った。昨年9月の北海道地震のブラックアウトでは風力発電所が再稼働できるようになったのに、北海道電力の送電網に電気を送る許可が出なかったという。
 地球温暖化対策から、二酸化炭素の排出がない再エネの導入増が求められるが、導入量に限界がある。環境省は「自立分散型のネットワークを創設しなければ根本的な解決にならない」とし、実証事業を計画した。

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