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本州のヒキガエル、在来両生類を「中毒死」 北大准教授、専門誌に論文 /北海道

 本州から来たヒキガエルが北海道の両生類を中毒死させることを明らかにした論文が5日、淡水域生態学の専門誌に公開された。道内で分布域を広げる国内外来種のアズマヒキガエルと北海道在来のエゾアカガエルやエゾサンショウウオとのショッキングな関係の一端が明らかになった。
 論文を発表したのは北海道大学北方生物圏フィールド科学センター苫小牧研究林の岸田治准教授(42)。岸田准教授は、在来の両生類と外来のアズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)同士の食う―食われるの関係に着目。水槽実験の結果、アズマヒキガエルより早く孵化(ふか)するエゾアカガエルとエゾサンショウウオの幼生が、孵化直後のアズマヒキガエルの幼生を捕食すると、高い確率で死ぬことがわかった。
 さらに詳細な実験を進めると、在来種にとってアズマヒキガエルの幼生は有毒であること、エゾサンショウウオに比べエゾアカガエルのほうが毒への耐性が低く、アズマヒキガエルの体の一部や、中毒死した在来種の遺骸を食べるだけでも死んでしまうケースがあることも確かめられた。
 道によると、アズマヒキガエルは函館、旭川、空知、石狩地方などで繁殖が確認され、北海道ブルーリスト(外来種リスト)にも掲載。在来種への影響が懸念されている。岸田准教授は「アズマヒキガエルが在来種の脅威になっている可能性が示唆された。実態を早急に明らかにする必要がある」と話している。

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