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バカマツタケ、作れた 加古川の企業、完全人工栽培 /兵庫県

 香りも味もマツタケに引けを取らないバカマツタケ。その完全人工栽培に成功した、と肥料メーカー多木化学(本社・加古川市)が発表した。シイタケなどと違って人工栽培が難しいとされてきたが、食味も天然ものに近いという。同社は3年後をめどに商業生産を目指す。
 バカマツタケは「本家」より小ぶり。アカマツではなくコナラやクヌギなどブナ科の木と共生し、マツタケより1カ月ほど早く出てくる。マツタケモドキ、ニセマツタケといったマツタケの仲間と比べ香りも味も良く、高級食材として珍重されている。
 同社によると、これまで多くの研究者が人工栽培に挑んできた。だが、朽木などを栄養にするシイタケやマイタケなどと異なり、マツタケの仲間は生きた植物から栄養をもらって成長するため人工栽培は難しいとされてきた。これまで人工培養後に自然環境に戻して生育させた例はあるが、室内環境で培養から生育までの人工栽培に成功した例はなかったという。
 同社が研究を始めたのは2012年。植物の生育を促す微生物の研究などに取り組んできた部門が担当した。早い段階で原基と呼ばれる幼体の培養に成功したが、胞子をつくる傘を持つところまでは育てられなかった。
 その後、室温や湿度、菌床など生育環境を変えて試行錯誤を続けた結果、今年4月、3カ月の培養で長さ約9センチ、重さ36グラムまで成長。今月9日までに17本の生育に成功した。
 今後は量産化や経費削減が課題になる。大学でキノコを研究し、今回の研究を提案した秋津教雄・主任研究員(43)は「虫食いの心配のない良質のバカマツタケを安定的に供給できる。手頃な価格で味わえる事業化を目指し、いずれはマツタケ人工栽培にも挑戦してみたい」と話している。

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