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バイオガス発電計画、相次ぎ止まる 送電線の空き容量不足、十勝で推進協設立/北海道

 北海道電力の送電線の空き容量が不足しているため、十勝地方で家畜の糞尿(ふんにょう)を使ったバイオガス発電プラントの建設計画が相次いで止まっている。現状を打開しようと、行政や農協、商工団体などは10日、「十勝バイオガス関連事業推進協議会」を立ち上げた。
 十勝町村会などによると、十勝地方には33基のバイオガス発電プラントがあり、他にも同様の事業が20件以上検討されている。2013年には、十勝の全19市町村が国の「バイオマス産業都市」に選定された。
 プラント経営には、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を活用し、北電に売電することが重要だ。
 しかし、北電などによると、道東エリアの送電線の容量にはすでに空きがなく、現状では事実上、プラント新設が難しい状況になっている。送電線の増強には10~15年かかる見込み。北電は今夏、十勝の各市町村をまわり、こうした事情を説明したという。
 豊頃町は今年度予算にバイオガスプラントの整備基本設計費など約1620万円を計上していた。しかし、「送電線への接続のめどが立たない」として、今年度の基本設計策定を見送った。地元生産者でつくる法人が整備を計画している帯広市や協議会を立ち上げた更別村も、足踏み状態になっているという。
 家畜の糞尿処理や臭い対策、電源の確保……。農家の大規模化が進む畜産王国・十勝にとって、バイオガスプラントは利点が多く、期待は大きい。
 危機感を募らせる十勝地方の自治体や農協など10団体は10日、十勝バイオガス関連事業推進協議会を設立。政府などへの要請のほか、プラントで作られた再生可能エネルギーの利活用策も調査、研究する。
 この日の設立総会で、会長に選出された米沢則寿・帯広市長は「十勝の畜産業のさらなる成長のために、プラントは必要不可欠な施設。先月の地震で発生した大規模停電で道内電力の脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになったなか、我々の取り組みは、地域での電源の確保にも貢献できる」と述べた。

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