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気温1.5度上昇、IPCC警鐘 極度干ばつ1.1億人/洪水2倍

 1億1千万人が極度の干ばつにさらされ、洪水のリスクが2倍になる――。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8日に公表した地球温暖化についての特別報告書は、世界の平均気温が産業革命前より1・5度上昇した場合の世界をこう予測した。温暖化が現状のまま進めば早ければ2030年にも上昇幅は1・5度に達すると指摘している。
 温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1・5度未満に抑えることを目標にしている。これに基づき、IPCCは1・5度上昇した場合の影響などをまとめた特別報告書を初めて作成し、公表した。
 報告書は1・5度上昇の場合と2度上昇の場合で、人間社会が受ける影響を比較した。
 少なくとも5年に1度は熱波に見舞われる人は、1・5度上昇では世界人口の13・8%。2度上昇だと36・9%になり、1・5度の場合と比べて影響を受ける人は17億人増えるという。
 また、極度の干ばつにさらされる人は1・5度上昇だと1億1430万人。それが2度上昇では1億9040万人に増えるとした。
 洪水のリスクにさらされる人は、1・5度上昇では1976~2005年のレベルの2倍、2度上昇だと2・7倍になるという。
 報告書は1・5度上昇に抑えて安定させるためには、30年までに世界全体の年間の二酸化炭素排出量を約45%削減(10年比)し、50年ごろには「実質ゼロ」にするという道筋を示した。50年ごろに世界の電源構成のうち再生可能エネルギーが70~85%を占め、石炭火力発電をゼロに近づけなければならないとした。
 各国はパリ協定に基づき30年までの温室効果ガスの排出削減目標を定めている。だが、国連環境計画によると、すべて達成しても30年時点の世界全体の排出量は気温上昇を2度に抑えられるレベルよりも110億~135億トン(二酸化炭素換算)多くなる計算だ。1・5度未満に抑えるレベルからすると160億~190億トン多いという。
 12月にはポーランドで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)が開かれる。IPCCの特別報告書を受け、削減目標の引き上げなど排出削減の強化で合意できるかが焦点だ。

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