私の古民家、利活用の道は? 所有者向け相談会に県内外20人 日向 /宮崎県
- 2018/09/30
- 朝日新聞
- 宮崎県
- 全文
江戸末期の建物が残る日向市美々津の国選定重要伝統的建造物群保存地区で27日、古民家や空き家の利活用方法について専門家や業者らが所有者に助言する相談会が開かれた。古民家はレトロ(懐古的)な雰囲気を生かしてゲストハウスやカフェに改装する例もあるが、利活用されていない空き家が多いという。
古民家とは、築50年以上の伝統的木造建築を指す。相談会は、その価値判定や耐震診断ができる古民家鑑定士でつくる「古民家再生協会宮崎」(日向市)が初めて開催した。日向市内には戦前に建てられた古民家が約970軒ある。再生協会は同市と協定を結び、古民家を移住やイベントなど地域活性化に役立てる活動に取り組んでいる。
相談会場は、かつての回船問屋をリノベーション(大規模改修)したレンタルスペース&カフェ「ゆめのかたちぷろじぇくと。」。代表理事の坂口孝生さん(40)が県内外から訪れた相談者ら約20人を前に、古民家に使われている日本の風土に適した建築技法や先人の知恵について映像を投影しながら解説した。
個別相談では、古民家を保存するための助成金の申請方法や、維持管理できなくなった場合の解体利用方法についても説明。坂口さんは「木や土、竹、わらなどで出来た古民家は廃材が出ない究極のエコ(自然環境保全)。建築基準法に則(のっと)っていないので今では造るのが難しい。地域に日本の伝統文化を残して活性化につなげたい」と話した。
相談会に参加した不動産業者によると、木造建築物は通常20年で建物としての価値がゼロになるという。古民家鑑定士は古民家の文化的背景や近隣状況、建物構造など500項目以上を調査して価値を鑑定し、耐震診断もする。古民家再生協会宮崎の会員は9月末現在で5人。1級建築士や伝統工法を得意とする工務店主らが名を連ねる。今後も宮崎市など県内各地で相談会を開き、古民家の維持保存や利活用を呼びかけるという。