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南牧と都会結ぶツリーハウス デッキ完成、都市の有志と村民で /群馬県

 過疎化が進み、高齢化率日本一の南牧村の山林で、村と都市を結ぶ活動をする有志団体「なんもく大学」と「コミュニティW」のメンバーらが、樹上の家屋「ツリーハウス」作りを進めている。土台部分のデッキが9月に完成。交流拠点として村民も巻き込んだ催しを企画し、活性化につなげようという試みだ。

 なんもく大学は村に仕事や旅行で訪れ、魅せられた20~30代の大学生や社会人らが3年前に発足。村の暮らしや村民との交流を楽しみながら、生活の知恵や風習などを学ぶ活動をしている。
 コミュニティWは、東京大・慶応義塾大教授の鈴木寛さん主宰の「社会創発塾」の有志らが昨年発足させた。各地の農山村地域で地元住民との交流を通し、地域の魅力を再認識する環境づくりを目指している。
 両団体が昨秋からツリーハウス制作を企画。これまでワークショップを数回開き、東京近郊を中心に参加者を募集。村民も含めて延べ100人以上が制作に関わり、全体の計画作りや活用方法などのアイデアを出し合った。
 制作の現場は南牧村小沢にある磐戸鉱山の跡地。長谷川最定村長に掛け合い、閉鎖状態となっていた村所有の山林の一部を借り受けた。ツリーハウスの高さは地上約2メートルでデッキの広さは25平方メートル。建材には村産のヒノキやスギ、基礎部分に特産の石を使った。
 完成間もない9月16日には感謝会を開き、メンバーや村民ら約30人がデッキの完成を祝った。来年以降は上屋の建設も検討するが、コミュニティWの須藤淳彦さん(56)=川崎市=は「今後どのようにしていくか、みんなで考えていくのが楽しみ」。なんもく大学事務局長の古川拓さん(24)=横浜市=は「家にするのもいいが、イベントなどの空間として使っていくのもいい。交流拠点として村と都会の懸け橋になる場にしていければ」と話す。
 木材を提供した地元製材所の市川英幸さん(62)は「若い人がみんな出て行ってしまうのに、よくもこんな遠くまで来てやってくれる」と感激した様子だった。
 鈴木さんは「すべてがうまくいくわけではないが、地元と都市の人たちで互いに力を持ち寄り、草の根で活動を進めることで新たな地方創生のモデルになりうるのでは」と期待を寄せている。

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