台風21号、損保の受け付け48.5万件 過去最多迫る
- 2018/09/21
- 朝日新聞
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日本損害保険協会は20日、関西を中心に大きな被害を出した台風21号に関連して損保各社が受け付けた事故の件数が12日時点で約48万5千件となり、風水害で過去最多の件数に迫っていると発表した。今年は国内外で大規模な自然災害が相次ぎ、損保会社の負担が増すことは避けられない。
同協会によると、台風21号に関する受付件数のうち約8割は火災保険で、風害による住宅の屋根の損壊が多いという。件数には調査の依頼や契約の問い合わせも含むが、4日の上陸から短期間で異例の件数にふくらんでおり、実際の支払件数も増えそうだ。統計を取り始めた1970年以降で最多だった、91年の台風19号の約60万件を超える可能性があるという。
西日本豪雨に関連した支払件数は12日時点で約5万5千件。支払総額は1657億円にのぼったことも明らかになった。台風以外の豪雨による風水害では過去最大規模だという。
東京海上ホールディングス(HD)、MS&ADインシュアランスグループHD、SOMPOHDの損保大手3社が2018年度当初に計画した国内の自然災害による保険金の支払い見込み額は計1500億円ほど。再保険を除いた単純計算で、西日本豪雨だけでこの額を上回った。
損保各社は保険金の支払いに備えて再保険に入っており、負担の一部はそこから賄われる。大規模な国内災害の発生に備えて積み立てている「異常危険準備金」の取り崩しもできるため、今期の決算に与える影響は限定的としているが、災害が続けば再保険料の上昇や準備金の残高の減少を招き、今後の経営の重しとなる。
■今年起きた国内の主な自然災害と損保会社の支払件数
時期 災害 支払(受付)件数 支払額
6月 大阪北部地震 11.4万件 866億円
7月 西日本豪雨 5.5万件 1657億円
9月 台風21号 48.5万件 未定
〃 北海道地震 1.2万件 未定
(大阪北部地震は10日時点。ほかは12日時点。台風21号と北海道地震は受付件数)