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堆積7万年、しま模様間近に 水月湖「年縞博物館」オープン /福井県

 若狭町と美浜町にまたがる三方五湖の一つ、水月湖の「年縞(ねんこう)」をテーマにした県年縞博物館が15日、若狭町にオープンする。

 年縞は湖の底から採取されたしま模様の泥の層。季節によってプランクトンや黄砂などが堆積(たいせき)し、色の暗い層と明るい層が1年かけて一対のしま模様になる。
 水月湖で1年に積もる層は平均0・7ミリ。7万年分の年縞が確認され、その厚さは45メートルになる。流れ込む大きな河川がなく、山に囲まれて風が遮られ波が立ちにくいことなどの条件がそろっていることから、世界でも類を見ない年縞ができたという。
 年縞はしまの数を数えることで層の年代が分かる。さらに、年縞の層に含まれる葉の化石の放射性炭素の量を調べることで、土器や人骨に含まれる放射性炭素の量から年代を突き止める「ものさし」にもなる。
 また、層にある花粉や火山灰を調べることで、過去の気候変動を知る手がかりにもなる。水月湖の年縞データは、国際標準を決める研究者グループに採用され、2013年から使われている。
 博物館内には、14年に県が湖底から採取した年縞の実物を展示。1メートルずつステンドグラスにして、45メートルにわたって、新しいものから順番に並べている。7万年前からの人類史や気候変動も、パネルで解説している。化石や土器の複製が並び、年代を測る体験コーナーもある。
 博物館は展示棟1棟と研究棟2棟で、延べ床面積は約1800平方メートル。総事業費は14億8千万円。研究棟には県の里山里海湖研究所と、県と協定を結んでいる立命館大学の古気候学研究センター福井研究所が入る。今後、協力して年縞にある花粉の純度を高く抽出する研究を進めるという。
 山根一眞特別館長は「世界の研究の基礎になるものを提供しているのが年縞。7万年分のタイムカプセルの実物を見て、エネルギーを感じてほしい」と話す。
 観覧料は一般500円、小中高校生200円、未就学児と70歳以上無料。問い合わせは年縞博物館(0770・45・0456)。

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