ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

化学物質、基準内でも悪影響 環境省、企業向け「手引」作成へ

 工場排水に含まれる化学物質が国の基準内でも、生態系に悪影響を及ぼしていることが、国立環境研究所の調査で分かった。化学物質は、河川や海に流れ出た際の影響がはっきり分からないものもある。環境省は生物を使って生態系への影響を調べる「生物影響調査」の企業向け手引を作る。
 環境研は2008~16年、化学工業や電気業など34社の工場や処理施設など計69カ所の排水を採取。10倍に薄めて藻類やミジンコ、ヒメダカなどへの影響を調べた。排水中の化学物質の濃度は水質汚濁防止法の基準内だったが、128回の調査のうち52回で生物の成長や繁殖が妨げられたという。渡部春奈主任研究員は「人間の健康にただちに関わらないと思うが、さらに調べる必要がある」と話す。
 環境省によると、日常的に使われる化学物質は約10万種ある。実際に生物を使って調査すれば、毒性やそのメカニズムがはっきりしていない化学物質が排水に混じっていても生態系への影響が分かり、対策を取りやすい。環境省は今年度、この手法の普及を目指し、企業向けの手引を作る。

PAGE TOP