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棚田の維持管理や農地の在り方議論 小谷でサミット、650人参加 /長野県

 第24回全国棚田(千枚田)サミットが8日、小谷村で始まった。県内外から棚田の保全などに取り組む約650人が参加。高齢化や担い手不足が著しい山間地の農業をどう守り、地域振興に役立てていくかなどが議論された。
 県内での開催は2度目で、1997年の更埴市(現・千曲市)での第3回以来。山形県や長崎県などからも関係者が訪れた。
 開会式後に開かれた事例ディスカッションでは「山間地農業の共存の在り方」をテーマに、実行委員長の松本久志・小谷村長や識者らが意見を交わした。
 小谷村は、「貴重なのは平らな所」(松本村長)というほど急峻(きゅうしゅん)な土地が大半を占め、約100ヘクタールの水田のほとんどが棚田という。松本村長は「高齢化などで農地の維持が課題となっている」と問題提起した。
 これに対し、信州大学学術研究院農学系助教の内川義行さんは、約40年前と現在との農地の分布状況の違いを説明。道路が接続できないなど「耕作しにくい場所が荒れ、放棄された」と述べ、農作業中の安全確保なども含め農地整備の重要性を指摘した。
 小谷村に研究室を設け、学生らと棚田の復元などに取り組む東京農業大学地域環境科学部教授、武生雅明さんも「急傾斜地で圃場(ほじょう)整備ができなかった所は明らかに農地が減っている」としつつも、整備が進むと生物がいなくなるなど生態系に影響を与え、「ジレンマがある」と話した。
 一方で、学生らと村で活動してきた経験から、棚田や山間地の農業を「教育や福祉の場としていかすことができる」と期待。内川さんも、棚田を産業の場としてだけでなく、文化継承や環境、学び、観光など「複合的な場」としてとらえることが大事とした。
 午後は八つの分科会があり、村に移住してきた「農業女子」などを囲んでさらに議論を深めていた。9日は棚田めぐりツアーなどが催され、閉会する。

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