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白神山地のシンボル、マザーツリー折れる 台風21号の強風影響か /青森県

 白神山地の津軽峠付近(西目屋村)にあるブナの巨木「マザーツリー」の幹がボッキリ折れているのが見つかった。台風21号の影響で4日深夜から5日未明にかけて吹いた強風による被害とみられる。白神山地のシンボルツリーで人気観光スポットでもあっただけに、関係者らから残念がる声が相次いだ。

 6日午後0時半ごろ、県自然保護課の職員らが幹が折れているのを発見し、村や国などの関係機関に連絡した。津軽峠を通る白神ライン(県道28号)は台風21号に備えて4日午後5時~6日正午は通行止めになっており、その前まで異変はなかったとみられる。
 マザーツリーは推定樹齢400年以上。高さは約30メートルあったが、7日に被害状況を調べた津軽森林管理署によると、幹はY字形に2本に分かれていた地上9メートル付近で折れていた。落下した幹の1本は長さ20メートルで幹回り2メートル50センチ、もう1本は長さ16メートル、幹回り3メートル。同署はマザーツリーへの遊歩道を当面通行止めにする。
 弘前大名誉教授で「白神マタギ舎」のガイドを務める牧田肇さん(77)は6日午後に観光客を案内し、被害を初めて知った。「あれだけのブナの巨木が簡単に見られる場所はほとんどない。観光資源としても価値があったので残念です」
 マザーツリーは昨年、県樹木医会の斎藤嘉次雄さん(71)が樹勢が衰えていると診断。固くなっていた周囲の土を掘り返し、有機質改良剤と活性炭を混入するなどの治療をした。今年6月下旬に効果を確認しに行ったという斎藤さんは「葉の枚数や新芽の多さなどから樹勢は回復しつつあると判断していた。しかし予想外の強風が入ってきてしまったのだろう」と語った。
 西目屋村の関和典村長は「以前の雄大なマザーツリーを見ることができないのは寂しい限りですが、この姿も縄文から続く自然のサイクルの一コマだと思うこととし、マザーツリーに続くブナの巨木を400年後にも見ることができるよう、白神山地を次世代に伝えるべく取り組んでいきます」とコメントした。

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