ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

アライグマ生息域 10年で3倍 44都道府県で環境省確認 作物被害年3億円

 各地で農作物などに被害を及ぼす特定外来生物のアライグマの生息域が約10年前と比べて、3倍に広がっていることが環境省の調査で分かった。新たに見つかった9県を含め、44都道府県で確認された。環境省は「自治体と協力して捕獲などの対策を続ける」としている。
 北米原産のアライグマは、1970年代にテレビアニメの影響でペットとして大量に輸入されたが、捨てられたり逃げ出したりして野生化。雑食性で繁殖力が高く、各地で果物や野菜などを食い荒らし、農作物被害は年間3億円を超える。生態系への悪影響や文化財の被害も報告されている。
 同省生物多様性センターが、全国の陸地を5キロ四方の1万9255区域に分け、市区町村に2010~17年にアライグマが確認されたかを聞いた。その結果、生息が確認されたのは、全区域の20%にあたる3862区域。05~06年の前回調査時の1338区域から約3倍に増えていた。茨城県や栃木県など首都圏周辺や、三重、滋賀、福井の各県などで生息域を広げていた。前回の調査時には少なかった香川、福岡、佐賀の3県でも、確認された区域の数が大幅に増えていた。
 新たに生息が確認されたのは、宮城、島根、熊本などの9県で、生息情報がなかったのは秋田、高知、沖縄の3県のみとなった。
 そのほかの外来種は、ハクビシンが全区域の26%、ヌートリアは同8%で、それぞれ生息が確認された。ハクビシンは山口県を除く本州と四国の全都府県、ヌートリアは中国地方を中心に18府県にそれぞれ分布していた。

PAGE TOP