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人工の崖に巣、カワセミ繁殖 戸田ケ原、市の再生事業で /埼玉県

 戸田市の戸田ケ原自然再生エリアの池で、野鳥のカワセミの繁殖が初めて確認された。崖の穴の奥に巣を作るため、幼鳥の姿は視認されていないが、頻繁にエサを運び込んでおり、市は「エサの運び込みがなくなった5月下旬に巣立ったようだ」と喜んでいる。

 荒川沿いに広がる戸田ケ原は、サクラソウが一面に咲き誇るなど自然豊かな地域だったが、開発や開墾などでその姿は消えてしまった。市は2007年から、彩湖・道満グリーンパーク内のこのエリアを多様な生き物が生育する街のシンボルとしようと様々な取り組みを続けており、その柱の一つが「カワセミが子育てする水辺」だった。
 「水辺の宝石」とも呼ばれるカワセミは、河川の水質悪化で都市部では姿を見ることが少なくなっていたが、水質浄化の進んだ地域では再び見られるようになった。戸田ケ原でも時折その美しい姿を見せていた。
 ただ、繁殖に必要なのが崖。蛇などの天敵から守るため、垂直の切り立った崖に深さ50センチ以上もの穴を掘って巣を作るからだ。平坦(へいたん)な河川敷の戸田ケ原には崖はなく、市は昨年12月に幅7・5メートル、高さ1・7メートルの人工の崖を池沿いに作り、条件を整えて春から夏にかけての繁殖期を迎えた。
 すると4月20日に、オスとメスが交代で巣に出入りする姿が見られた。5月15日には、これまでより大きなエサを運び込む姿が15分に1回程度目撃され、市はひなが大きく育っていると想定。同22日までその様子が確認されたが、その後は親鳥も姿を見せなくなったため、ひなが無事に巣立ったとみている。
 市みどり公園課の須賀貴行さんは「崖を作った最初のシーズンに繁殖につながるとは思わなかった。カワセミは繁殖した場所に戻ってくるので、来年以降もここで子育てをしてくれれば」と期待している。

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