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サンゴ北上、房総に到達 温暖化影響「食卓変わるかも」

 国立環境研究所(茨城県つくば市)などの研究グループは、過去65年間でサンゴが九州から関東へ北上する様子を明らかにした。黒潮や対馬暖流にのったサンゴが、地球温暖化の影響で海水温が上昇したことで千葉県の房総半島まで定着。高知県の土佐湾や熊本県の天草沿岸にはサンゴの大群落ができているという。

 同研究所の熊谷直喜研究員らは、主に1950年から2015年に発表された報告書や論文439点から、造礁サンゴ12種とコンブ類やホンダワラ類などの海藻30種の生息地の変化を追跡。海水温の変化や海流の影響からどのように移動したかを推定した。
 67年ごろに鹿児島県南部で確認された南方系サンゴが、90年ごろには天草まで、08年ごろには五島列島まで北上していた。
 また、79年ごろに三重県の紀伊半島で観測された別の南方系サンゴは、93年ごろに静岡県伊豆半島、07年には房総半島の館山と、28年間で約350キロ移動していた。
 一方、藻場は九州や四国で消滅した例が少なくなかった。胞子で増える海藻はあまり移動できず、海水温の上昇で海藻を食べる魚が活発になり、食べ尽くされてしまったとみられるという。
 熊谷研究員は「南方で減少しているサンゴが日本近海に新たな生息地を見いだしている」と指摘。一方で「藻場で増えるメバルやマダイなどが減り、ハタやフエフキダイなどサンゴ礁を好む魚が増える可能性がある。将来、日本の食卓が変わるもしれない」と話す。

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