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知床沖にセミクジラ 絶滅危惧種、50年で確認2例目 /北海道

 今年6月、斜里町の知床半島沖のオホーツク海を航行していた観光船が、絶滅危惧種のセミクジラに遭遇していたことが分かった。同海域では2013年にも確認されており、1968年にサハリン沖で捕獲されて以来、約半世紀ぶりに相次いで目撃された。
 網走市の道東観光開発が運航する観光船「おーろら」と「おーろら2」が同月21日、ウトロ漁港の北東約15キロの海上で、クジラを見つけ、しばらく観察して動画をSNSに投稿した。
 これを見た栃木県日光市の今井康貴さん(30)がセミクジラと確認した。今井さんはアマチュアながら、セミクジラの国際的なデータベースづくりに参画するほどの鯨類研究家。特有の頭部のこぶや尾びれの形、泳ぎ方などからセミクジラと確信。他の研究者とも協力して確認したという。
 セミクジラは北太平洋に生息するヒゲクジラで、個体数は数百頭しかいないとされる。1968年7月にサハリン沖で学術捕獲され、紋別港に陸揚げされたのが確実な記録だが、近年は、国内での観察例もごく少ない。
 今井さんは「知床沖で目撃された2例が同じ個体かどうか不明だが、彼らにとって居心地の良い生態系が保存されている証拠だ。世界自然遺産として環境が守られてきたことと無関係ではない」と話している。

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