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車だよ!動物さん逃げて 富士山麓の会社、高周波の「警笛」開発

 富士北麓(ほくろく)にある山梨県の自動車部品販売会社が、野生動物の交通事故死(ロードキル)を減らそうと、動物が嫌う音を出す装置「鹿(しか)ソニック」を作った。車の前部バンパー付近に取り付け、動物を森へ帰す仕組み。高速走行の風圧を利用し、動物だけに聞こえる音が鳴る「鹿避け笛」はすでにあるが、ゆっくり走っても効果が出るようにと開発した。動物と車の事故が絶えない北海道など全国での活用が期待されている。
 開発したのは富士河口湖町船津の「T・M・WORKS」。きっかけは5年前、轟(とどろき)秀明社長(53)が出身高校の同級生と集まった際、15人中5人が運転中にシカとの衝突を経験していたことだった。
 富士山麓(さんろく)でロードキルは日常だ。環境保全団体「富士山アウトドアミュージアム」によると、今年3月までの4年間に710件発生。シカが150件と最も多く、タヌキが90件で続いた。舟津宏明代表(45)は「森に逃げ込んでから死ぬ動物もいるので実際のロードキルの数は2~3倍」と話す。
 轟社長によると、シカとまともにぶつかれば車の修理費は平均50万円以上。「車の部品を売る会社として共存共栄を模索したい」と昨年4月に開発に着手した。
 鹿ソニックは約5センチ四方で、車のバッテリーにつないで使用。人には聞こえない20~30キロヘルツの高周波音を出す。同じ音を続けると動物が慣れ、動物によって苦手な音も異なるため、周波数が不規則に変わるようにした。富士北麓で照射を繰り返し、約50メートル先のシカに当てると数秒で逃げることを確認。タヌキなどほかの動物でも効果を確認できた。轟社長は「『動物のすみかにお邪魔します』という優しい気持ちを持ち、衝突事故の多発地区では徐行してほしい」と呼びかける。
 全国の車用品店で販売。価格は1万9千円(税別)。問い合わせはT・M・WORKS(0555・72・0546)へ。

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