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桑の葉から害虫防ぐ成分 農研機構が解明、利用期待 /茨城県

 桑の葉から分泌される乳液に、野菜の害虫の成長を阻害する成分が含まれていることを、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市)が解明した。桑の葉を食べるカイコなどは平気だが、多くのガの幼虫には低濃度で効果があった。新たな害虫防除技術への利用が期待できるという。

 農研機構の今野浩太郎・上級研究員らは、カイコ以外のほとんどの昆虫が桑の葉を食べないことに着目。葉の切り口から分泌される乳液を、野菜の害虫で知られるハスモンヨトウやヨトウガなどの幼虫に摂取させると、微量でも大きくならなくなり、数日で死ぬことが分かった。
 乳液を分析したところ、「MLX56」というたんぱく質が見つかった。このたんぱく質が、大半の昆虫の消化管にある「囲食膜」と呼ばれる内膜に結合することで、膜を分厚くして消化不全を起こさせることを初めて突き止めた。
 MLX56は桑にしか見つかっていない。昆虫のなかでも、例外的にカイコは食べても平気だった。化学農薬と比べると即効性はないが、植物由来のため環境にやさしく、人に囲食膜は存在しないため、人間への害はなく安全だという。
 今野上級研究員は「将来は人工的に合成して散布したり、遺伝子組み換えで野菜にこのたんぱく質を作らせて自衛させたりできる」と話している。

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