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絶滅危惧種、ドローンが見守り 動植物撮影→AI分析 富士通、豪で実験

 富士通は、絶滅が危惧される動植物の保護のため、自社の人工知能(AI)とドローンを活用した生態の分析に乗り出す。人手やヘリコプターを使う従来の手法に比べ、費用を最大で10分の1以下に抑えられる可能性があるという。9月からオーストラリアで実証実験を始める。
 豪ニューサウスウェールズ州が行う絶滅危惧種の調査に、富士通のAIとドローンを組み合わせたシステムを提供する。ドローンで動物の動きなどを空から撮影し、AIで分析する。
 もともと映像から対象物を識別するのが得意なAIで、渋滞緩和や小売店の客層の割り出しなどへの活用に向けた実証実験が行われている。これを応用し、動物の動きや生息場所を把握し、保護につなげるねらいだ。
 同州の保護対象リストには、カンガルーの一種や海鳥の仲間なども含まれる。従来は専門家が現地で観察したり、ヘリコプターで撮影した動画を確認したりしていた。ほかの大陸から遠く離れたオーストラリアには固有種が多く、絶滅危惧種も1700を超えるとされるが、国土が広いため調査が行き届かない課題もあった。
 富士通は今春から同州の国立公園内で、他社製のAIとドローンで希少な植物の生態を調べる実証実験を始めている。新たに自社のAIも利用し、動物にも対象を広げることで、生態系全体の把握につなげる。
 富士通は、環境保全の進んでいない途上国を中心にこうした需要があるとみている。

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