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ライチョウすくすく 上野動物園に2羽誕生 /東京都

 上野動物園(台東区)で、国の特別天然記念物ライチョウの繁殖が進んでいる。絶滅のおそれがあるなか、今月中旬には2羽が誕生した。3年前に人工繁殖を始めてから初の3世代目で、広報担当者は「生まれてきてくれて、まずは一安心。小さいうちは体調が急変することもあるので注意深く育てていく」と話す。
 ライチョウは、北、南アルプスなどの高山帯に生息。1980年代には3千羽が生息していたとされるが、近年は捕食者となるキツネやカラスが増え、シカも侵入してきて植物を踏み荒らすことから1700羽ほどに減っている。
 そこで環境省は日本動物園水族館協会と連携し、2015年に人工繁殖を始め、野生の卵を取ってくるところから取り組んだ。上野動物園も参加し、5個の卵を運んで孵卵(ふらん)器で温め、5羽がかえったが、2カ月ですべて死んだ。2年目も野生の卵4個が孵化(ふか)したが、雌は1羽だけだった。
 それでも、この雌が22個の卵を産み、一気に増え始めた。17年には2世代目が誕生。ひなは生後1年で成鳥になり、今年は13個の卵を産むと、7月10、11日に1羽ずつひなが生まれた。2羽が生まれた直後は飼育員が泊まり込みで温度管理や餌付けにあたったという。
 上野動物園の12羽を含め、全国では大町山岳博物館(長野県)など5園で計36羽まで増えており、将来は野生復帰を目指す計画だ。環境省希少種保全推進室の番匠克二室長は「人工繁殖の取り組みと同時に、自然下の個体を減らさない努力が必要」と話している。

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