携帯トイレ持って登って 民間団体・自治体・国が連携し「普及宣言」 大雪山、汚染対策で/北海道
- 2018/07/11
- 朝日新聞
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大雪山への登山者へ携帯トイレをもっと利用してもらおうと、10日、登山団体や環境省、地元自治体らが連携し、「携帯トイレ普及宣言」を発表した。大雪山にはトイレのない避難小屋や野営地があり、環境汚染などが問題になっている。
普及宣言は、登山者への携帯トイレ利用の呼びかけや、快く使ってもらえる環境づくりをうたう。具体的には(1)避難小屋や野営地への携帯トイレ用のブース設置(2)使用済みを回収するボックスの登山口への設置と、管理体制の維持・強化(3)ネットやガイド事業者らを通して登山者への呼びかけ、などに取り組む。
普及宣言をしたのは、山のトイレを考える会など民間18団体と、環境省や道、地元自治体でつくる大雪山国立公園連絡協議会。環境省上川自然保護官事務所などによると、昨年の入山者は推計で7万~9万人。しかし、常設トイレがあるのは黒岳など5カ所だけだ。
トイレがない美瑛富士(1888メートル)の美瑛富士避難小屋や、トムラウシ山(2141メートル)の南沼野営地では、周辺に用を足した跡が点在、ティッシュも散乱したり、用を足す登山者が登山道以外に踏み入り、植生を破壊したりしている、という。
南沼野営地には道が2002年、携帯トイレ専用の木製ブースを一つ設置。美瑛富士避難小屋には、環境省が15年からテントを使った夏だけの仮設専用ブースを設置している。携帯トイレの持参率は向上傾向にあるというが、昨年の調査では、美瑛富士避難小屋での持参率は62%だった。トムラウシでは84%が持参したが、実際に使ったのは54%にとどまり、増設を求める回答が49%あった。
上川自然保護官事務所の桝厚生・首席自然保護官は「山岳団体と行政が連携した今回の宣言で、携帯トイレを登山口で買える、山で使える、登山口で回収してもらえる、という流れが、一連のものとして整う」と話す。美瑛富士では常設トイレブースの設置が、トムラウシでは増設がそれぞれ検討されている、という。