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チバニアン「国のお墨付き」 「地磁気逆転地層」天然記念物指定へ /千葉県

 地質学上の時代区分に「チバニアン」の名が刻まれる可能性があることで注目される市原市田淵地区の「地磁気逆転地層」が、国の天然記念物に指定されることになった。国の文化審議会が15日、文部科学相に答申した。正式指定の秋ごろに向けて、地元の市原市は地層の保存保護を進め、研究材料や観光資源として活用を図る方針だ。

 指定されるのは、地磁気逆転地層を中心に、周辺の養老川の川底の化石や滝、支流沿いの露出部分も含めた約2・8ヘクタール。市原市が1月に県を通じて国に意見具申していた。県内の天然記念物(特別天然記念物1件を含む)は計18件となる。
 地球のN極とS極は46億年の地球史の中で逆転を繰り返しているが、市原市の地層は、最後の逆転があった約77万年前の痕跡が確認できる場所として注目されている。国の文化審議会でも「地質年代境界として、また地磁気逆転現象を保存するものとして学術的価値が高い」と評価された。
 答申を受け、地元の市原市では喜びが広がる。小出讓治市長は「希少な学術資料としての価値が認められ、喜ばしい。地域活性化に向けた様々な取り組みを行っていく」とコメント。田淵町会の石井和好会長(61)は「貴重な歴史遺産として国のお墨付きが得られ、ありがたい」と話す。
 地層一帯の大半は現在は私有地で、市原市は取得を進めている。今後は文化財保護法のもとで天然記念物として保護されるが、研究のための試料採取は一部、可能になる。市は地層の保護と研究活動の両立に向けた方策を検討し、来年度中に保存活用計画を策定する方針。
 この地層を巡っては、国内の研究チームが昨年、地質時代の境界を示す「国際標準模式地」として国際学会に申請している。研究チーム代表の岡田誠・茨城大教授によると、順調に進めば来年中にも認められる見通しだという。約77万~12万6千年前の地質時代が、ラテン語で「千葉時代」を意味する「チバニアン」と呼ばれることになる。
 岡田教授は「現地の保存と研究活動の両立ができることもチバニアンが認定されるための条件の一つになっている。天然記念物の指定はそれを満たす最も有効な手段。これで条件がクリアされることになるので大変ありがたい」と話した。

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