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ヤクシカ、富山で野生化? ほぼ同じ遺伝子型 富山大グループ調査 /富山県

 鹿児島県の屋久島と口永良部島だけに生息しているはずのヤクシカが島外にもいた?――。ヤクシカとほぼ同じ遺伝子型をもつシカが県内に生息していることが、富山大の調査でわかった。かつて飼育されていたヤクシカが野生化し、交雑で増えたとみられる。
 富山大理学部の山崎裕治准教授(保全遺伝学)の研究グループが県と連携し、県内と近隣県で捕獲されたニホンジカの肉や耳を調べて明らかにした。
 山崎准教授によると、2013~16年に捕獲された192頭の遺伝子を分析した結果、12種類の遺伝子型を発見。そのうち、県内で捕獲された125頭を調べたところ、51頭がヤクシカとほぼ同じ2種類の遺伝子型だった。他の10種類は、県周辺に生息する在来種のホンシュウジカと同じだったという。
 山崎准教授らは、県外から持ち込まれたヤクシカが野生化し、個体数が増えた可能性を指摘。1990年代に富山市内の旧八尾町にシカ牧場があったという情報があり、ヤクシカが飼われていたとみている。
 ヤクシカは両島に生息する固有種だ。約1万年前に氷河期が終わり、九州本土と陸続きだった島が海で隔たれ、独自に進化。他のニホンジカに比べて、体や角が小さいなどの特徴がある。今回、県内で捕獲されたシカの中で、ヤクシカと似た個体がいたとの情報はないという。
 山崎准教授は「ヤクシカと同じ遺伝子型を持つシカの割合がかなり高く、個体数も増えている」と指摘。交雑によって繁殖力が高まる可能性があるため、高山植物や農作物への食害を危惧している。

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