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アイヌ民族伝承植物、白糠町など試験栽培 アルツハイマー病の予防に期待 /北海道

 アイヌ民族伝承の植物が、認知症の一種、アルツハイマー病の予防や抑制に役立つかも――。白糠町や室蘭工業大などでつくる町新農業ビジョン推進協議会が町内の自生植物の成分を分析したところ、効果が期待できると分かり、試験栽培を始めた。

 効果を期待できるのは、町内の山野などに自生するゲンノショウコや湿原などに育つナガボノシロワレモコウなど9種類。室蘭工大の上井幸司准教授(薬学)と徳楽清孝准教授(情報工学)のチームが分析し、可能性が明らかになった。
 たんぱく質の「アミロイドβ(ベータ)」が脳内で凝集、蓄積することでアルツハイマー病を引き起こすと考えられているが、試験管内の実験では、これらの植物中の成分が凝集を抑える効果が高いことが明らかになった。老人の脳の衰えに効くと古くから言われているスペアミントと比べて最大30倍の効果を示した植物もあったという。
 ただ、同じ植物でも、採取時期や生育環境で成分にばらつきが出るという。推進協議会はアイヌの人々が薬として使っていた自生植物を「アイヌ伝承有用植物」と定義。健康食品などに製品化できないかと、2016年度から植生を調べ始めた。
 推進協議会は育てやすいとみられるゲンノショウコなど4種類を選び、今年度から、自生植物を役場前に移し替え、試験栽培を始めた。大量生産の実現に向けてデータをあつめる。
 上井准教授は「アルツハイマー病に特効薬はなく、2050年には世界の患者は1億人になるとも言われている。高齢者の健康寿命を支えられたらうれしい」。町経済課の山田雄大課長は「製品化までにはまだ時間がかかると思う。製薬会社が注目するくらいの成果を期待したい」と話している。

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