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桃の種、邪馬台国と同時代? 奈良・纒向遺跡で出土 年代測定で判明

 所在地論争が続いてきた邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向(まきむく)遺跡(国史跡、3世紀初め~4世紀初め)で出土した桃の種が、放射性炭素(C14)年代測定で西暦135~230年のものとみられることが明らかになった。種は遺跡中枢部とみられる大型建物跡近くで出土し、大型建物の年代が自然科学の手法で初めて測定された。女王卑弥呼(ひみこ)の君臨した時代と重なる可能性が高い。近畿説、九州説を主張する考古学者からは歓迎と反発の声が交錯した。
 桜井市纒向学研究センターが14日公表した最新の研究紀要で報告された。
 種は2010年、3世紀前半では国内最大規模とされる大型建物跡(南北19・2メートル、東西12・4メートル)の南約5メートルの穴から約2800個出土。2カ所の研究機関がそれぞれ複数の資料で測定した。古代中国で桃は不老不死や魔よけの呪力があるとされ、祭祀(さいし)をつかさどるとされる卑弥呼との関係からも注目される。
 福永伸哉・大阪大大学院教授は「資料の点数が多く、二つの研究機関で同様の結果が出たので信頼度は高い」と歓迎する。
 一方、九州説の有力候補、吉野ケ里遺跡(佐賀県)の発掘に長年携わってきた七田忠昭・佐賀城本丸歴史館長は「纒向遺跡からは鉄製の素環頭大刀や大きな鏡など、中国との外交を物語る出土遺物がほとんどない。年代だけでは邪馬台国の決め手にはならない」と反論する。

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