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サクラもスギも「木のお酒」 醸造技術を開発、商品化目指す 森林総研

 木を原料にした「酒」をつくる技術を、森林総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。サクラやスギ、シラカンバなど、それぞれ樹木特有の香りとともに、ブランデーやワインに似た味わいがあるという。安全性が確認されて売り出されれば、世界初の「木のお酒」になる。
 研究チームの大塚祐一郎主任研究員らによると、たる酒のように木の香りを既存の酒につけたものはあったが、木材そのものを原料とした酒はなかったという。樹木の細胞壁が硬く、微生物が分解発酵できないためだ。薬剤で細胞壁を壊すことはできるが、食品にはできず、燃料用のアルコールなどにしてきた。
 研究チームは樹皮を除いた木材を天然水に漬け、直径2ミリのセラミック球と一緒にミキサーにかけて、薬品を使わずに細胞壁を粉砕する技術を開発。酵母などを加え、タンク内で2~4日発酵させたところ、アルコール度数約2%の琥珀(こはく)色の原液ができた。蒸留して度数約15%の透明な酒を完成させた。
 サクラ材から作った「サクラ酒」はほのかに甘い香りで、ワインにも似た味わい。「シラカンバ酒」はブランデーのようで、「スギ酒」は針葉樹らしいドライな感じに仕上がった。
 一般に出回るには、安全性の確認や税務署の免許取得が必要になる。研究チームは3年以内に商品化のめどをつけたいという。大塚さんは「日本には多くの樹木がある。それぞれの酒を楽しめるようにしたい」と話す。

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