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シカ吹き矢作戦、本格化 稚内市が春も実施、すでに6頭捕獲 /北海道

 市街地に出没するエゾシカ対策として、稚内市は今年度から麻酔薬入りの吹き矢を使った本格的な捕獲に乗り出した。捕獲の期間は昨秋より1日多い8~11日の4日間で、9日までに6頭を捕獲。試験的に取り組んだ昨秋の3頭を早々に上回った。

 吹き矢は猟銃より捕獲の効率が落ちるが、市は「猟銃を使えない市街地や住宅街、公園などで有効」と判断。今年度は事業費を20万円増の100万円として専門業者に委託し、捕獲スタッフも1人多い4人態勢にした。
 秋のエゾシカは冬毛で皮が硬く、今回は吹き矢が刺さりやすい夏毛に換わる春を実施時期に選んだ。吹き矢の射程を伸ばすため、通常の2倍の長さがある約180センチの筒も用意。「昨年より2メートルほど長い7~8メートルまで有効」といい、8日はオス1頭、9日はオス2頭、メス3頭を捕獲した。
 市は昨年度、852頭のエゾシカを捕獲した。捕獲数は前年度を74頭上回り、5年連続で増加したが、農村部での捕獲が8割以上を占める。一方、今年も春になると市街地でエゾシカが頻繁に出没。花壇や家庭菜園が食害に遭い、稚内公園やパークゴルフ場では人も気にせず、十数頭もの群れが居座っている。
 市は9日朝、稚内公園での捕獲の様子を報道関係者に公開した。のんびり下草をはむ9頭と7頭の二つの群れがいたが、ともにスタッフが10メートルほどに迫ると警戒され、風向きが悪く吹き矢も届かなかった。その後、市街地などでも試み、5頭を捕獲した。
 吹き矢はエゾシカへの接近の難しさや、風の強さや向きが影響し、簡単ではない。市農政課の近江幸秀課長は「吹き矢の捕獲はあと2日で終わるが、市街地周辺には銃を使える場所もあり、吹き矢と組み合わせて街なかのシカを減らしていきたい」と話している。

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