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自然界2世のトキ、3年連続で誕生 /新潟県

 環境省は1日、佐渡市の自然界でともに生まれ育ったトキのペアから、今年初めてひなが誕生したことを確認したと発表した。40年ぶりに「自然界2世」が生まれた2016年に続き、3年連続の誕生。トキの再生事業を進める同省は「野生復帰へのさらなる前進」と評価している。

 同省佐渡自然保護官事務所によると、1日午前7時20分ごろ、スダジイの樹上の巣で親鳥が1羽のひなにえさを与えている様子を職員が確認。親は足輪のない年齢不詳の雄と4歳の雌で、ともに自然界生まれ。3月27日に営巣、4月2日に抱卵を確認していた。 国産トキは一度絶滅し、中国の協力で提供されたペアで人工繁殖を繰り返し、08年から放鳥が始まった。現在、佐渡市の自然界には約280羽のトキが生息しているが、1年以上の生存率は低いという。
 関係者によると、人工飼育されたトキは天敵のカラスやテンなどから身を守る術がなく、生存率が低いとされる。一方、自然界で生まれ育ったトキは生きる力が強いとされ、さらに「自然界2世」は親から生きる術を学ぶため、生存率が高くなるとされる。
 このため、「自然界2世」が増えれば、全体の生存率がより高くなるという。3年連続の「自然界2世」の誕生は、トキが自然界により近い野鳥に戻りつつあることを示している。
 同事務所の若松徹首席自然保護官は「やっと誕生してホッとしています。自然界で次の世代が生まれ続ければ、再生事業は前進していくと思う」と話した。
 また、今年は抱卵を中止するペアが目立つなどトキの繁殖状況はよくない。現在、営巣が確認されたペアは39組で、このうち10組でひなを育てていて、25組で抱卵をしている。

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