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オニグルミに林業期待 低コスト高価値、家具材に 県の機関、発育など調査へ/島根県

 県中山間地域研究センター(飯南町)が、伐採後の人工林にクルミ科の落葉高木「オニグルミ」を活用する研究に取り組んでいる。スギやヒノキに比べ、生育に必要なコストが低く、木材としての価値も高い。衰退傾向にある林業の起爆剤にと期待している。

 研究しているのは、同センター森林保護育成科の陶山(すやま)大志専門研究員(44)。昨年からオニグルミの木材としての市場価値の調査や、センター内での発芽の試験などをしてきた。
 その結果、オニグルミの木は、反りなどが少なく強度もあるため、フローリングや家具材としての価値が高い。アメリカなどに分布するクルミ属の高級木材「ブラックウォールナット」に似ているとして近年、日本でも人気が高まっている。また実も栄養価が高く、食用作物としても魅力があることが分かった。
 また、オニグルミは成長が早く、スギやヒノキが林業収入を得られるまで45~50年ほどかかるのに対し、オニグルミは30~35年ほど。さらに、スギなどと違い、苗木ではなく種子の直播(じかま)きで成長できる点や、雑草の下刈りが必要な期間が短い点でもコストを低く抑えられるという。
 同センターは昨年、実際に直播きをして生育状況を観察したところ、苗木でなくても成長することを確認した。
 人工林でスギを成長させるコストは1ヘクタール当たり147万円、オニグルミは39万円と約3分の1以下(5年目までの試算)だという。
 国内に広く分布しているオニグルミだが、県内は、「黒ボク土」と呼ばれる火山灰からできた肥沃(ひよく)な土の地層が、三瓶山付近などに多く、気温も適切なため、特に生育に適しているという。
 同センターは今後、県内の約30カ所の耕作放棄地や山林で実際に種子を植え、発育などを大規模に調査する予定。適地の把握と適切な育成方法の確立を目指すという。
 陶山さんは「オニグルミには様々な可能性がある。森林所有者や林業者に知ってもらい、使ってほしい」と話している。

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