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新ライチョウ舎、人工繁殖へ弾み 飼育数が拡大、19羽まで 大町山岳博物館/長野県

 絶滅が心配される国の特別天然記念物ライチョウの人工飼育に取り組んでいる大町山岳博物館(大町市)に、ライチョウの新しい飼育舎が完成した。2016年から人工繁殖・飼育事業が始まり、個体数増加に伴う対策。今年は1つがいが人工繁殖を目指す。

 完成した飼育舎は、木造平屋建てで、716・6平方メートル。建設費約4千万円。5部屋ある飼育室のうち、2部屋には観察室を設けて、時期は未定だが、一般にも公開する予定だ。内装整備などを終え、6月には使用を開始する。
 新飼育舎の完成で、ライチョウの飼育舎は計4棟となった。現在、同博物館では計6羽(オス2羽、メス4羽)を飼育しているが、新飼育舎が完成して最大19羽まで飼育可能となる。
 1963年、同博物館は国の許可を得て、日本で初めてライチョウの人工繁殖を手がけた。その後、5世代にわたって繁殖を成功させた。だが、04年、最後のオス1羽が死んで、いったん人工飼育は途絶えた。
 16年、同博物館は環境省などによる保護増殖事業に参加し、北アルプス・乗鞍岳で野生のライチョウが産んだ卵を採取して孵化(ふか)を成功させるなどして、人工飼育を再開させた。昨年は、前年に人工孵化させたメスが産卵し、2世代目が順調に育っている。
 新ライチョウ舎の飼育室は自然光を採り入れる構造で冷房設備が整っており、空気清浄機や監視カメラの設置なども予定。一般公開予定の飼育室は、床部分に傾斜をつけたほか、北アルプスの山並みの写真を壁に貼るなどして、自然環境を演出。ガラス張りで、観察室からライチョウの行動を間近に見ることができる。
 鳥羽章人館長は「新しいライチョウ舎は、近い将来に一般公開が出来ると思う。モニターを設置し、ライチョウの生態を解説するなど来館者に楽しんでいただける施設にしたい」と話している。

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