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桜育った「俺ももう一花」 南三陸で植樹、被災者に励まし

 東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町で、震災翌年から桜を植える活動が続いている。住民は苗木から花を咲かせるまでに成長した桜に勇気づけられている。
 今月中旬、災害公営住宅近くの丘で桜の幼木が開花した。入居する被災者を励まそうと住宅の窓から見える場所に植えられた桜だ。植樹活動が始まったのは2012年。東京の服地メーカーの会長らが立ち上げた復興支援団体から苗木の購入費を寄付され、南三陸森林組合が植樹や管理を担っている。これまでに千本余りを町内に植えてきた。
 住民の中心メンバー、佐藤秋夫さん(67)は津波で流された自宅や電子部品製造会社を再建。だが、その借金がのしかかる。日々の生活や仕事に追われ「季節を感じるひまもない」という佐藤さんだが、桜が咲く時期だけは特別だ。「自分で植えた桜に花がつくと、俺ももう一花咲かそうって思うんだよな」
 21日には毎年恒例の植樹祭の後、初めての花見を催す。これまでに400本以上植樹した観光施設に地元住民らが集い、餅つきや、地元名産のわかめ汁などを楽しむ。

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