八戸バイオマス、営業運転を公開 売電し焼却灰は再利用 /青森県
- 2018/04/11
- 朝日新聞
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住友林業(東京都)、住友大阪セメント(東京都)、JR東日本が共同で設立した「八戸バイオマス発電」(八戸市)が営業運転を開始し10日、報道関係者に公開された。住友大阪セメントにとって他社との連携で発電事業を行うのは初めて。また、JR東日本もバイオマス発電事業への進出は初めてとなる。
同発電所は八戸港付近の工業用地に建設された。資本金は、3億円。出資比率は、住友林業が52%、住友大阪セメントが30%、JR東日本が18%だ。
循環流動層ボイラー、蒸気タービン発電機などの設備を導入し、発電規模は12・4メガワットを見込んでいる。年間送電量は、十和田市に匹敵する約2万7千世帯分の使用量に相当する。発電した電力は「再生可能エネルギー固定買取価格制度(FIT)」を利用して売電する。
八戸バイオマス発電は今月1日から営業運転を開始している。燃料となる木質チップは、三八・上北・下北地域の間伐材、周辺鉄道沿線の鉄道林などが中心だ。また、燃焼効率を助ける海外からのパームヤシ殻も使用する。燃料の調達は、住友林業100%子会社みちのくバイオエナジー(八戸市)が受け持つ。年間の使用燃料は約13万トンを予定している。
燃焼灰は、セメントの原料として住友大阪セメントグループの八戸セメントが再利用する。活用する量は、年間1800トンという。
八戸市にバイオマス発電が作られた背景は、県内の豊富な森林資源だ。八戸バイオマス発電によると、素材の生産量は、2004年の約55万立方メートルが14年には約80万立方メートルに拡大。その一方で、紙の使用量の低下などからチップ用木材の需要が低迷しているという。さらに、木の皮や小枝などが山に置き去りにされているのが現状だ。
八戸バイオマス発電の設立は、出資企業にそれぞれウィンウィンの関係をもたらす。住友林業は、資源調達の確保、JR東日本にとっては、再生可能エネルギーへの進出、住友大阪セメントにとっては原材料の確保につながる。
八戸バイオマス発電の山本稔之代表取締役は「重大事故を起こさず、雇用の創出などで地域経済に貢献したい」と抱負を語った。