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熊川宿、交流の場へ 築130年古民家、シェアオフィスに 若返りの拠点、期待/福井県

 国の重要伝統的建造物群保存地区「熊川宿」(若狭町)に築約130年の古民家を改修した「街道シェアオフィス&スペース菱屋」が完成し、7日、オープニングセレモニーがあった。都市部と地域との交流の場にと期待される。5月中旬から本格運用する。

 熊川宿の中心部にある大型の古民家で、江戸期から炭問屋「菱屋」の屋号で商売を営んできた。木造2階建て、延べ床面積276平方メートル。16代目の勢馬聖兵衛氏が2004年、その妻が11年に亡くなって以降は空き家となっていた。
 東京の建築設計会社「デキタ」(時岡壮太社長)が、総務省の補助などを得て1月から改修していた。事業費は約800万円。熊川宿では初の民間主導による開発という。
 個室オフィス7区画、和室の共有スペース、会議室、イベントスペースがある。すでに4区画に立命館大や京都の和服店などの入居が決まっている。入居者は若者が多く、うち1人は若狭町に定住する予定。高齢化の進む熊川宿の若返り拠点としても注目される。
 式典では、森下裕町長が「新しい風が吹いてきた。ここが起爆剤になって交流人口を増やすまちづくりを進めたい」。若狭熊川宿まちづくり特別委員会の宮本哲男会長は「ここが成功例になるよう地元挙げて協力したい」と表明した。
 時岡社長はおおい町出身。「故郷で事業を展開したいとの思いが実現した。東京にある本社をここに移し、北陸のまちづくりにかかわっていきたい」と話す。熊川宿のほかの空き家を活用した宿泊施設の運営も視野に入れている。
 聖兵衛氏の娘たちも式典に招かれた。長女の市島禮子さん(76)=大阪府枚方市=は「空き家になって朽ち果てていくのを見るのは忍びないと思っていました。こういう形でよみがえって両親も喜んでいると思います」と話した。
 利用料はオフィスが月2万6千円から7万9千円。スペースが1日千円から9千円。問い合わせは菱屋シェアオフィス(info@hishiya-wakasa.com)へ。

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