ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

葉っぱビジネス拡大 第三セクター「いろどり」が沖縄の離島支援 /徳島県

 料理に添える木の葉などを売る「葉っぱビジネス」を展開する上勝町の第三セクター「いろどり」が、離島や山村の支援に乗り出した。都会で好まれそうな農産物を発掘するほか、販路の開拓や受注システムの構築までを提供する。

 沖縄本島から西へ100キロ。1月下旬でも気温20度を超す久米島(人口約8千人)は、サトウキビ収穫の真っ盛りだった。
 北西部の山里地区にある農産物直売所「山里ゆんたく市場」。地元の言葉で「おしゃべり」を意味する店は、農家7世帯と町が出資する合同会社が運営する。店に入ると小宮山純さん(26)がタブレット端末のカメラで島ラッキョウを撮影していた。「フェイスブックに『おすすめ野菜』として載せるんです」。店内には島ニンニクやシークワーサーなども並ぶ。
 小宮山さんは「いろどり」でベンチャービジネスを学んだ元研修生。久米島町の地域おこし協力隊員でもある。昨年7月、都会向けに販売できる産品を発掘するために派遣された。
 約60世帯の農家を回り、何をどれくらい栽培しているか聞き取り、生産に関する相談も受ける。地元産のマンゴーや紅イモを使ったアイスクリームなど観光客向けの商品開発にも取り組む。「食べると笑みがこぼれる野菜やフルーツがたくさんある。島外の人にも知ってもらいたい」
 「いろどり」による支援は、上勝町の本社に島民から「農家の生活を豊かにしてほしい」という相談が寄せられたのがきっかけ。味や品質には自信があるが、都会にはつてがない。「葉っぱビジネス」の成功に学びたいという要望だった。
 「ゆんたく」代表の本永栄さん(66)は、都会の市場に打って出るため、野菜やフルーツをブランド化する構想を膨らましている。「ここでしかできない特産を島外の人にも届けるのが目標」と話す。まずは年内の東京への出荷を目指す。

 ■人材育成・システムを提供
 「いろどり」の狙いは、少量生産だが特徴のある「地域の宝物」を発掘して売り込むこと。久米島以外でも話が進んでおり、数年後には支援先を10程度に増やす計画だ。支援の柱は、人材育成と自社開発した受発注システムの提供だ。
 まず現地に社員を派遣して産品を探す。ビジネスの中核を担う人材を上勝町に招き、生産者との付き合い方や品質管理などのノウハウを伝授。いろどりと取引のある卸売市場を紹介するなど販路開拓も進める。
 受発注システムは、注文・出荷情報を産地と市場、料理店がリアルタイムに共有できる。「必要な時に必要な数を届ける」を徹底し、離島や山間部の地理的に不利な点をカバーする。
 いろどりにはシステム販売による収入のほか、産品の売り上げに応じた手数料が継続的に入る。大畑悠喜取締役(31)は「上勝町ではお年寄りが元気に働くようになり、病院へ行く回数が減った。いろどりの30年間の学びを伝え、高齢者がいきいきと働く地方が全国に広がれば」と期待する。

PAGE TOP