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一本桜番付、小美玉の男性が130本評価公開 300カ所訪ねネットに /茨城県

 東の横綱は偕楽園(水戸市)の左近の桜、西は松岩寺(高萩市)の山桜――。県内の一本桜を相撲番付にならって紹介する「茨城一本桜番付」が花見の盛り上げに一役買っている。北は大子町、南は利根町まで、計130本を並べた番付は毎年更新され、ネット上で公開されている。

 まとめたのは小美玉市の会社員、坂野秀司さん(42)。「花見の定番といえばソメイヨシノの並木桜ですが、茨城には樹齢数百年の歴史ある一本桜がたくさんあります」。写真はほとんど自身が撮ったもの。6年間で約300カ所の桜に足を運び、2014年に初めて番付を作成した。
 評価基準は枝ぶり、花付きの良さ、周りの風景との調和性などの見栄えはもちろん、樹齢や植えられた歴史的背景も踏まえて厳選している。
 3年連続で最高位に選んだ偕楽園の左近の桜は樹齢わずか約60年だが、水戸藩9代藩主の徳川斉昭の夫人・登美宮が降嫁した際、仁孝天皇から京都御所の左近の桜の鉢植えを賜った歴史を持つ。2度の代替わりを経て、1963年の弘道館の改修工事完了を記念して宮内庁から植樹された。
 元々風景写真を撮るのが趣味だった。以前住んでいた福島県で見た三春滝桜に圧倒され、一本桜の魅力に取りつかれた。2011年に水戸に戻り、県内の一本桜について調べると、1983年に作成された「茨城桜見立番付」を見つけた。しかし、番付に記された一本桜を訪れると、多くが枯れたり、枝が折れたりしていた。「番付が成り立っていない。30年でここまで変わるのか」と衝撃を受けた。
 「桜の寿命は永遠じゃない。平成版を完成させて、歴史をつないでいかなければ」と決意。花見シーズンは桜巡りに奔走し、それ以外の11カ月間は情報収集に費やす。図書館で自治体の記録や文献を読みあさり、開花に備える。番付は新しく発見した桜を加え、毎年開花前に発表している。
 「まだまだ未完成です」と坂野さん。目標は平成が終わる来年4月末までに県内全ての一本桜を巡り、完成版を作ることだ。「平成の集大成として残せるような番付にしたい」。番付は坂野さんのホームページ「茨城県の桜」(https://sakuraibaraki.localinfo.jp/)でダウンロードできる。

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