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クマムシ新種、鶴岡で発見 慶大准教授、住んでいたアパート駐車場から /山形県

 慶応大学先端生命科学研究所(鶴岡市)の荒川和晴准教授(38)が、微小動物のクマムシの新種を市内で発見した。チョウメイムシ科に属することから、発見地にちなんで「ショウナイチョウメイムシ」と命名し、米科学誌で報告した。県内でクマムシの新種が見つかったのは初という。

 クマムシは、緩歩動物と呼ばれる生物の仲間の総称で、体長は1ミリ以下。コケの中などに生息している。国内ではこれまでに167種が確認されていて、このうち26種類が新種として報告されたという。
 クマムシを研究している荒川准教授は2016年春、当時住んでいた鶴岡市内のアパートの駐車場で、コンクリートに付着するコケを採取。その中にいたクマムシを調べた。
 1834年、ドイツで発見されたチョウメイムシ科のクマムシとよく似ていたが、体表を覆う層の穴の大きさや、卵の表面の突起の形状などの特徴が異なっていた。DNA情報を解析して既存の種と一致しないことを確認。ポーランドの研究者にさらに詳しく分析してもらったという。
 クマムシは強い生命力を持ち「最強生物」の異名もある。周辺環境の乾燥に対応。ほぼ完全に脱水できる「乾眠」の状態で超低温下でも生き続け、水を得ることで生命活動を再開するという。南極の昭和基地近くで採取され、30年以上も冷凍保存されていたコケの中から復活した例もある。
 今回の新種は、一見するとドイツで発見されたクマムシと似ていたため「これまで見落とされていた可能性もある」と荒川准教授。その一方で「この地域の固有種の可能性もある。身近な場所で新種が見つかったことに驚いた」と言う。
 荒川准教授が飼育を続けている「ショウナイチョウメイムシ」は世代交代を続けている。誕生から10日ほどで性成熟して卵を産み、5日ほどでかえるという。「雌雄のバランスや、性決定に関わる遺伝子群の研究を進めたい」と話している。

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