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多様な植物追って半世紀 糸島の愛好家ら、作った標本1万5000点 /福岡県

 糸島に息づく多種多様な植物を調査し、自然保護を図る「糸島植物友の会」が今年で発足50周年を迎えた。半世紀で作製した標本は約1万5千点。緑化推進や森林の保全管理に功績があったとして、会長の平野照実さん(69)は2016年度の県緑化功労者に選ばれた。会は5月をめどに記念誌を発行する計画だ。

 会は1968年、県立糸島高の若宮義次教諭が同高生物部OBの平野さんや中学教諭らを会員に発足させた。それまでは研究者主体の「糸島植物研究会」が調査を担っていたが、植物愛好家など参加希望者が増えたことから、裾野を広げることにした。
 会員は現在約50人。活動の中心は月1回の観察会で、昨年5月に600回を迎えた。地元をはじめ県内外の山や川、神社などに出かけて植物を観察する。採取可能な植物が見つかれば持ち帰って標本にする。
 「自然に関心を持ってもらおう」と、小中学生を対象にした植物採集会も開催。セリやツクシ、フキノトウなどの野草を採って炒め煮や揚げ物などに調理し、みんなで食べる「野草食の日」も設けている。
 発足当初から事務局で活動を支えた小崎禮子(こざきれいこ)さん(83)は「長続きしたのは大きな事故がなかったから」と話す。登山やバスハイクなどの前には幹事団が入念に予備調査し、ルートや天候などを精査した上で実施してきたことが事故防止につながったという。
 糸島市の伊都国歴史博物館で4日、「いとしまの自然と植物~いとしまの植物の見どころ」と題して講演した平野さんは「糸島の植物は約1300種に及び、うち絶滅危惧種も80種以上ある。活動を続け、地域の豊かな自然を未来の子どもたちに手渡していきたい」と話した。
 

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