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センダン植樹、未来の家具に 八女で大川の親子ら、成人する15年後向け /福岡県

 家具のまち、大川市の市民が八女市の山にセンダンの木を植樹した。15年ほどで数十センチの太さに成長し、その後、家具材にして生かす――。気は長いが夢のある取り組みが始まった。

 福岡・大川家具工業会(松田洋一理事長)は、こんな構想を描いている。
 植樹に参加した大川市の4~6歳の子どもたちが成人する約15年後に成木になったセンダンを伐採。大川の木工所で机、いす、棚などの製品にして、お世話になった幼稚園、保育園、学校へ寄贈する――。
 3日、大川から6組の家族と松田理事長や倉重良一市長らが、八女市内の県八女森林組合に向かった。山口和則組合長や鎌田久義八女副市長らと合流し、車で約10キロ進み、上陽町上横山の組合所有の山に着いた。
 「ここの標高は450メートル」と山口組合長。センダンの成長に適した標高は500メートル以下だという。
 スギやヒノキが整然と植わるが植樹場所は皆伐され、所々に竹の目印が。土を掘り、豆炭ほどの肥料をまき、長さ約1メートルのひょろっとした苗木を20本植えた。組合によると、約1ヘクタールに500本を植え、スギの苗木2500本とあわせて混合林にするという。
 センダンに目をつけたのには理由がある。
 成長がきわめて早く、土地や気候の条件がよければ、2~3年で高さ2メートル以上、幹も直径2センチ以上成長するからだ。
 工業会や森林組合によると、九州で植林されるのは主にスギとヒノキ。伐採するまで最低でも約50年、家具の用材とする場合は60年以上の歳月が求められる。研究が進み、15~20年で伐採期を迎えられる早生広葉樹のセンダンが注目されるようになったという。
 家具産地の大川は有明海に面し、めだった山がない。工業会が、九州森林管理局(熊本市)に相談したところ、県八女森林組合を紹介された。工業会の構想に共感した組合が苗を購入し、植樹場所を提供した。
 大川市の一般廃棄物収集運搬会社社長、龍元気さん(32)と、設備業東晃さん(32)は4~5歳の子どもと参加した。「木を育てるという感激を、子どもたちは覚えてほしい」
 大川と八女を「供給と需要でつなぐ」と話す松田理事長は「プロジェクトを契機に息の長い付き合いをして、自分たちで育てた木で家具を作るという循環を生み出したい」と意気込む。
 森林組合も、夏の下草刈りや樹幹をまっすぐ伸ばすための芽かき作業を手伝ってもらうことで、交流が深まればと期待する。
 倉重市長は「山が生きているから海も生きる。川下から川上を守るという意識を大事にしていきたい」と話す。

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