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樹木の言葉分かる「刑事」活躍 佐久の菅尾さん、小説8話電子化 /長野県

 樹木の言葉が分かる女性刑事が、植物の世界で起きる難事件やトラブルを次々に解決――。佐久市に住むフリーライター、菅尾美和子さん(41)のユーモア小説「新米・樹木刑事(でか)の12カ月」全8話が完結し、電子書籍で発売中だ。奇想天外な展開と軽妙な文章で、自然界の不思議な魅力を伝えている。

 「山の日」の制定を記念して長野県警が新設した樹木刑事。一般公募で採用されたのは子育て中のアラサー主婦だった。植物の知識はゼロ。だが、彼女には木と会話できる特殊能力があった。その「事件簿」をめくると――。
 〈シラカバ老木失踪事件〉「太陽光を浴びてくる」と言い残して失踪した老木。徘徊(はいかい)? 誘拐? 聞き込みと張り込みで突き止めた意外な真相とは。
 〈春の公園樹安全運動〉公園を巡回中、「雑食の疑い」のある不審な巨木を発見する。サクラやハナミズキへの聞き込みから、巨木の知られざる姿が明らかに。初の逮捕なるか。
 〈魔法使いと呼ばれし木〉秋の一斉取り締まりで、街路樹が枝を震わせながら「名前を言ってはいけないあの植物」の存在を明かす。なぜそれほど恐れるのか、その正体は。
 菅尾さんは三重県出身。地元紙記者や出版社勤務を経て、2011年に東京から夫の郷里の佐久市に移住した。木の名前もほとんど知らなかったが、ある時、シラカバの老木が灰色にひび割れ、若木の頃と様変わりしているのを見て想像力に火がつく。植物図鑑を手に木々の特徴や人間社会との関わりなどを1年近くかけて調べ、昨年春から「樹木刑事シリーズ」を順次公開してきた。
 作品には、けんかっ早いキリや、おどおどしたクワなど個性的な樹木が84種類登場する。菅尾さんの分身である樹木刑事と木々との関西弁を交えたやり取りがユーモラスだ。謎解きを楽しみながら、身近な植物の意外な素顔を知ることができる。
 菅尾さんは「普段は気に留めない木々でも、見方を変えれば面白い世界が広がる。空想することの楽しさが伝われば」と話す。アマゾンのキンドル版全8話で1600円。

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