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ドローン、国有林を見守る 管理局29機活用、民間講習も /愛媛県

 四国森林管理局が森林を管理するためにドローン(小型無人飛行機)の導入を進めている。昨年度予算で20機購入し、現在は計29機で運用し、上空から国有林の状態を確認する。ドローンの活用を広めるため、民間や自治体向けに四国各地で講習会も開いている。

 高知県四万十市の四万十川沿いの上空を、ドローンが飛び回った。昨年末に開かれた四国森林管理局の講習会だ。同県内の森林組合が参加し、操縦の仕方や運用に関する法律を学んだ。
 同局の江坂文寿・業務管理官は「木材を運ぶための架線を張るときや林道を作るときにも、全体像を撮ってからだと簡単だ」と説明。中村市森林組合の坂本真吾さん(33)は「初めてだが、とても簡単に操作できた。森林管理にも使いやすい」と語った。
 四国の森林面積は139・9万ヘクタールで、森林率は74%に上る。同局はそのうち18・3万ヘクタールの国有林を管理している。新たな森林管理の方法として、ドローンに注目してきた。
 同局の浜田幸治企画調整課長補佐によると、頻繁にヘリコプターを飛ばすことはできないため、これまでは歩いて調査することが多かった。時間がかかる上、災害などで現場に行けないという問題もあった。
 2013年度、初めてドローン1機を導入。少しずつ数を増やし、四国で計7カ所の森林管理署と管理事務所に2~3台ずつ配置できるようにした。今では職員の8割がドローンを操作できるという。
 上空から3D画像を作り、森林の状態を把握し、シカの害や防護ネットの見回りをする。宇和島市などでは、国有林で伐採した木材を運び出す際、ドローンで架線を張る方法も取り入れている。
 昨年10月の台風21号では、高知県香美市の要請で森林被害を撮影した。高松市屋島地区では同8月、広葉樹が枯れているとの連絡に、ドローンの撮影で分析。水不足と判明したという。
 ドローンのほかに、3Dレーザースキャナーも3台導入した。現在は試験段階だが、森林内でレーザー光線を飛ばし、木一本一本の高さや曲がりを測定できる。これまで国有林は職員が一本一本を測定していたが、大幅に時間や労力を短縮できるという。
 同局の松井章二企画調整課長は「ドローンや3Dスキャナーは値段も高く、民間が使うのはハードルがまだ高い。最新機器で何が出来るのか発信するのも、国の役割だ」。野津山喜晴局長は「国有林が率先して新しい技術を導入し、その成果を民有林に広げることで、林業を成長させたい」と話す。

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