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牛の糞尿で発電 環境に優しい循環型社会へ 富士宮に実験施設 /静岡県

 牛の糞尿(ふんにょう)を原料にしたバイオマス発電と下水処理場での廃液処理を組み合わせた「環境調和型」のモデル施設が、富士宮市の朝霧高原に完成した。環境省が約11億9千万円の建設費を負担する初の実証実験事業で、4月から本稼働する予定だ。
 事業主体は富士開拓農協(同市上井出)で、市も共同事業者になる。20戸の酪農家から、毎日、牛約350頭分の糞尿約20トンを回収して発電プラントに運び、発酵で生じるメタンガスを使って発電する。電力(1200キロワット/日)はプラントの運転に使うほか、余った分を東京電力の送電網にのせる。メタン発生後の廃液(消化液)は市下水処理場に運んで処理するが、この処理場の稼働電力として、東電の送電網にのせたのと同量が充てられ、相殺される仕組みだ。
 これまで糞尿は肥料として牧草地にまかれ、地下水の水質悪化につながってきた。今回の事業は、二酸化炭素(CO2)削減のための再生可能エネルギー導入と、糞尿・消化液の適正処理による「環境に優しい循環型社会」を同時に目指す試みだ。現地で17日に開かれた完成式で、環境省の森下哲地球環境局長は「再生可能エネルギーの中でも様々な地域資源を活用したバイオマスは非常に重要視されてきている。消化液の適正処理も合わせた本施設のノウハウを蓄積し、全国に発信したい」と述べた。
 実験期間は来年3月までの1年間の予定。施設は営利事業として採算を取っていくには規模が小さすぎ、実験終了後は解体されるという。

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