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枯れて伐採、シンボルの松が「木育」で再生 北本・南小でプロジェクト /埼玉県

 学校のシンボルだった松の木が松枯れ病になって伐採されてしまった、北本市緑3丁目の市立南小学校(安野正人校長、児童426人)が、松を様々な形で再生させようという「松の木プロジェクト」を進めている。切られた松で作ったモニュメントとベンチが今月、お披露目された。

 校歌の歌い出しは「みどりの松が 日にはえて」。校章には三角形に組み合わされた松葉がデザインされるなど、松はまさに同小の象徴的存在だった。
 武蔵野の雑木林を切り開いて造られた1967年の開校時には、敷地内に27本の松があった。だが校舎や校庭の整備に伴い減少。最後に残った3本の中には樹齢100年を超える高さ約20メートルの大木もあったが、いずれも松枯れ病になり、倒れる危険も出てきたため昨年8月、すべて切られた。
 伐採された松で記念になるものを残そうと、同小教諭の長南(おさなみ)あずささん(31)が、大学・大学院時代に指導を受け、同小で年1回、木材利用の意義などについて学ぶ「木育」の授業をしている埼玉大の浅田茂裕教授に相談。製材は木村木材工業(北本市)、加工は障害者授産所の川本園(深谷市)などの協力を得た。
 今月14日にお披露目されたモニュメントは、廊下の壁に薄く切った松の木を貼り付け、同小と松の木とのかかわりなどについて展示してある。お披露目の式では、児童会長の黒古響(くろこおと)君(6年)が「これからも松の木が見守ってくれると思います」とあいさつした。
 児童らはこの日、昨年の夏休み中に行われた伐採の様子の映像を見た後、浅田教授の授業を受けた。和歌や昔話に登場したり、木材や燃料として使われたりと、松と人間のかかわりについて話を聞いた。最後にそれぞれの児童が、磁石を埋め込んだ小さな松板製の紙どめを紙やすりで仕上げ、持ち帰った。
 ほかにも、卒業を控えた6年生は1人1作ずつ「南小の松」を題材にした物語の創作に取り組んでいる。近隣で採集した松ぼっくりから種を採り、苗を育てて同小に松を植え直す計画も進行中という。

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