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日本の水産物禁輸、韓国に是正を勧告 WTO

 韓国が日本の原発事故被災地などから水産物の輸入を禁止していることについて、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会は22日、WTO協定違反だと訴えていた日本の主張をおおむね認める報告書を公表した。確定にはなお数カ月以上かかる可能性があるが、中国や台湾も続けている輸入規制の撤廃に向けて追い風になりそうだ。
 韓国は東京電力福島第一原発からの汚染水流出を理由に2013年9月、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の8県からの全水産物の輸入を禁止した。WTOは報告書で、日本食品のリスク水準に対して規制は厳しすぎるとして是正を勧告した。ただ、不服があれば、上級委員会に申し立てができる。
 日本食品に対する輸入規制は緩和する国が増えているが、中国や台湾なども一部地域からの輸入禁止を続けている。日本政府は「科学的な根拠がない」として撤回を求めてきた。政府は「今回の判断を受けて規制撤廃の働きかけをいっそう強化していく」(水産庁)としている。
 韓国の輸入禁止では、事故前に養殖量の7~8割を輸出していた東北のホヤ産地などが打撃を受けた。水産庁によると、韓国への水産物の輸出額は12年9月からの1年間で109億円あったが、規制強化後の1年間は84億円に落ち込んだ。
 日本政府は15年8月、韓国をWTOに提訴。韓国の食品医薬品安全庁長官は昨年、「敗訴した場合は上訴する予定だ」と語った。

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