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小川原湖、全面禁漁へ 頭悩ます漁業者 米軍機タンク投棄 /青森県

 米軍三沢基地所属のF16戦闘機が20日朝、離陸直後にエンジン火災を起こし、燃料タンクを小川原湖に投棄した。シラウオとワカサギで全国一の漁獲量を誇り、漁協がブランドシジミの売り出しに動き出したばかりの湖には、部品が散乱し、油の流出も確認された。再生はいつになるのか、関係者は頭を悩ませる。

 小川原湖漁協は同日午後に緊急役員会を開き、この日水揚げされたシジミ385キロをすべて廃棄処分とし、21日からはシラウオやワカサギを含め全面禁漁する方針を決めた。期限は、破片も含めたタンクと燃料のすべてが回収され、安全が確認されるまでという。濱田正隆組合長は「当たり前のことだが、補償はしっかりと求めていく。東北町や県と協議したい」と厳しい口調で述べた。
 県によると、小川原湖では2016年、シラウオ406トン、ワカサギ519トンがとれ、前者は湖沼では全国の漁獲量の約7割、後者はほぼ半数を占めている。また、シジミは全国トップ級の漁獲量に加え、徹底した資源管理が評価されて、昨年12月に国の地理的表示保護制度(GI制度)に登録された。これにより、付加価値が高まると期待された矢先だった。
 それだけに、今回の事故が漁業関係者に与える影響は大きい。県庁で報道陣の取材に応じた三村申吾知事は「出荷に課題が出てくるとすれば非常に遺憾だ」と不満を隠さなかった。
 一方、米軍三沢基地のR・スコット・ジョーブ司令官は正午前に三沢市役所を訪れ、米田光一郎副市長に「ご迷惑をおかけした」と謝罪した。市によると、ジョーブ司令官は機体の整備点検や、パイロット教育の徹底を約束したという。出張先の青森市で取材に応じた種市一正市長は「非常に市民に不安を与えること。今後はないように万全を期してもらいたい」と話した。

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